天猫(Tmall)が出していた、天猫の越境ECカテゴリである「天猫国際」の2017年レポートを読んでみました。こちらは後半編です。前半編へはこちらから。
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目次
PART1:越境EC市場の概観
PART2:越境ECのトレンド ←ここまで前の記事で書いてます
PART3:越境ECのユーザ ←ここからはこの記事で書いてます
PART4:総括と今後の展望
個人的な感想
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PART3:越境ECのユーザ
90年代生まれの人数・消費額が増えているよ、というデータです。
中国はよく、xx-xx歳という区切りではなく、こういう感じで90年代生まれ、80年代生まれ〜という分け方をします。
例えば80年代生まれは「80后」と言います。
ちなみにここでは95-99年生まれを95后と定義しているので、90后の定義は90-94年生まれ、となっています。
ちなみにちなみに「后」は「後」の意味です。
▼人数の経年変化
全体の5割弱が90年代生まれ(90后,95后)
▼消費金額の経年変化
全体の4割弱が90年代生まれ(90后,95后)
ただ、90年代生まれの人数・消費額が伸びてきたのは、高校から大学、大学から就職とライフステージが大きく変化し、自分で買い物をしたり使えるお金が増えたりするタイミングのため、ある意味当然ですよね。
こういう時は「90年代生まれ」等の区切りではなく、「20-24歳」とか同じ年齢のユーザの人数・消費金額比較してくれないとようわからんな、という感じがします。
次に90年代生まれの若者の越境ECでの消費の特徴として、「新製品を試したい」「高価な製品を持ちたい」「歳を重ねることへの不安」の3つが挙げられています。
が、このまとめ方、およびまとめ方の根拠に使われているデータが正直かなりダウトです。
例えば「新製品を試したい」についてですが、レポートではこの根拠として4つのデータを挙げられています。
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90年代生まれは・・・
・最近伸びている10の国の商品を買った割合が高い
・スペインのMartiDREMというブランドを買った割合が伸びている
・流行りの服を買った割合が高い
・超人気だった韓国のあるインスタント麺を買った割合が高い
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これらは「新製品を試したいという特徴がある」というのに十分な根拠なんでしょうか・・・?
必要条件と十分条件が混同されているというか。。。
うーむ
後に続く「高価な製品を持ちたい」「歳を重ねることへの不安」についても似た感じで、個人的にはダウトなので割愛します><
※気になる方は原版をどうぞ
PART4:総括と展望
ざっくりこんな感じでまとめられていました
- 消費主体:90年以降、95年以降生まれの人が輸入消費の新勢力としてよに出てきた
- 消費習慣:輸入消費が一般化し、天猫国際のプラットフォームへの依存度が上がるだろう
- インタラクティブなコンテンツ:インタラクティブなコンテンツによって、より体験はよくなる。助け合って海外の良いものを購入できる。
- 品目:越境の商品はより細分化され、品質が高い商品が生活のレベルを向上させる
個人的にはふーんという感じ・・・すみません文句ばっかりで。
私の個人的な感想
レポートは当然天猫の越境ECの宣伝的な側面も大きいわけですよね。
そういう意味で行くと天猫さんの言いたいことは
- 天猫の越境EC(天猫国際)は今トップだしまだまだ伸びますぜ!特に若い人がどんどん活発に消費しているから期待が持てますぜ!
ってことだと思います。(まあそうですよね)
基本上記メッセージに沿って構成されてると思うんですけど(たまに論理がおかしいけど)、個人的にここだけ異色だなと思ったのが、PATR2の最後に出てきた
- インタラクティブコンテンツはもはや欠かせものになっているぜ!
というメッセージです。
ここは、天猫(および淘宝)内コンテンツについて書かれているものです。
能動的に探して見つけるタイプ(搜索型)のコンテンツ・検索方式ではなく、
おすすめから買う(推荐导购型)というエリアがあったり、
ユーザ同士でやりとりする(互动导购型)エリアがあったり、
はたまた店舗側がユーザにアプローチできる(私域型)場所があったりと、
店舗が出品して終わり、ではなく色々な切り口で探せたり購買意欲を喚起する工夫がなされているということが書かれています。
(具体例は前半編を参照くださいまし)
ここは数値データがあまり後に続かないんですけど、項目立てされていたので、天猫が割と強調したいところなのかなーと。
ちなみに念のため去年のレポートもみてみたんですけど、去年はインタラクティブコンテンツの話はありませんでした。
※逆に天猫の越境EC伸びてる!若者消費すごい!と多方面から言っている点は今年と同じでした。
▼去年のレポート(进口消费洞察报告 | CBNData)
なんでこの話がフィーチャーされ出したのか。。
推測なのですが、ソーシャルECと言われる拼多多(Pinduoduo)が一気に人気を博したからでしょうか・・?
参考↓
拼多多(Pinduoduo)は、既定の販売個数をクリアすると、かなり割安な価格で買えるという、グルーポン的な感じのECサイト。
上の記事の言葉を借りると
同社が他のモールと異なるのは、オンラインショッピングとソーシャルメディアを融合させたことにある。
ユーザーは、米国のグルーポンのように商品のまとめ買いができるだけでなく、テンセントの「WeChat」を使って共同購入する仲間を見つければ、最大90%の割引きが受けられる。
という感じです。
拼多多(Pinduoduo)はテンセント陣営なので、アリババ(天猫を運営)が対抗意識を燃やし、天猫もソーシャルだぜ!と発信したくてこの記載かな、と思いました。(考えすぎ?)
ただ天猫で言われているインタラクティブコンテンツは購入の手助け・後押しをするようなものであるのに対して、
拼多多(Pinduoduo)の共同購入するというモデルなので、一緒に考えるのはちょっと距離があるような気もします。
歯切れが悪くてすみませんが、気になったところでした。汗
どなたか良い解釈あれば教えてくださいまし。
あとはレポートの内容というより、天猫さんのレポート作成方針に対する雑感を。
都合のいいことしか出さないんだなあ(主に前半編参照)
- 2017年レポと言いつつ、天猫国際シェアがNo1になるように2017年Q4のデータだけで集計している、等
- それからグラフに数字が記載されていないことが割とある。統計マジックはわかるけど、グラフに数字書かないのはまずいのでは?
たまに論理が崩壊しているのにプチがっかり、ちゃんと読まなきゃわからないなあ
- このデータからそれ言える?こじつけでは?のように感じる部分が結構あった。
- 特にPART3の「若者の消費の特徴は3つあります」という突然のコンサル風まとめの意図が読めなかった・・・。素直に若者がよく買っているもののカテゴリランキングを出してくれた方がわかりやすかった。
- メディア等で取り上げられることを意識して、まとめたのだろうか。。。日本のメディアが出している簡単な要約記事はありがたいですが、翻訳記事を読むだけだと論理のおかしい点などに気づけないことも多いと思うので、やはり原版を自分で確かめるのも大事だなと実感
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私の中国語理解力が低かったり、グラフ読み解き力が低くて間違っているところがあったらすみません!もしあればぜひ教えてください!
おしまい。
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