さて今日は、私が「現地採用」で上海で働いていた時のおはなし。
私の個別の体験の垂れ流しですが、ネタとして面白く読んでいただければ、もしくは「現地採用」で中国で働くことを考えている人の判断の一助になったら幸いです。
※念のため用語の解説
・「駐在」は日本の会社の人が、会社による派遣で一時的に海外で働くこと(手当などがついて高待遇で、数年で帰るのが一般的)
・「現地採用」は自分で希望して現地の社員として採用されるもの(手当などなし、無期限)
駐在から帰国した我が、もう一回中国に行くまで
就職するまで中国に格別の思い入れがあったということはなく、大学の必修第二外国語で中国語を選択していた程度でした。
新卒で入社したコンサル会社の上海オフィス立ち上げのタイミングで、駐在で(not研修)半年間だけ上海で働かせていただきました。社会人2年目だったのですが、価値を出せなさすぎて悲しい気持ちでしたm(_ _)m
上海駐在後は、同じコンサル会社@東京で、2年位働いていました。
上海でもう一度働こうと思ったのは、「前回の上海駐在で価値出せなくてその後も落ち込んだので、もう一回上海に行って元気になりたい!」という理由です。
我ながらつっこみどころが多い理由だなと思いましたが、上海に行くことは自分にとって絶対必要だと思ったので決めました。
ちなみに、人に説明するときは、「中国市場は面白いと思うので~」って言っていた気がします。まあそれも嘘じゃないですけど。笑
※もう少し詳しいいきさつはこちらのインタビューに書いてます。
▼不動産屋さんのバイクに二人乗りし、物件見学@上海。警察がいる場所では降りて歩きます。笑
というわけで、「上海に行く」ということだけ決め、色々なエージェントにばばっと登録し、いくつかの面接を受けて、2週間位で内定をもらいました。 時間もったいないので、決めたらすぐ動く派ですʕ•ᴥ•ʔv
※ちなみに「上海で働く」が目的化していたので、当然「現地採用」になります。
キャリア面でも生活面でも不安はなかった!
行く前の不安はほぼありませんでした。
キャリア面としては、自分としては「若さ」がリスクヘッジになっているという認識で、「26歳で行って2年やってだめだったら28歳、まあ大丈夫でしょ。」と思っていました。
要は「今中国行ってチャレンジして失敗しても、この年齢と経歴であればキャリア上のリスクはあまり大きくないかな」という判断です。なんとなく2年位が見極めポイントとも思っていました。なんとなくです。
これは強気かつ傲慢な感じもしますが、今振り返ってみると(結果としては)間違ってなかったなと感じます。
生活面については、そもそも上海で働いたことありどういう場所か知っていること、知り合いも割といること、またある程度は中国語話せたことから、問題ないと思いました。
▼現地でもいちお勉強(だらだらとだけど・・)
そもそもお金に対する意識が低かった
前提として、私の転職時のお金に対する考え方は「少なくとも20代のうちは、お金のことを気にしすぎず、やりたいことやってれば良い。最終的には生涯年収で考えればいいかなあ」みたいな感じでした。いい感じに書くとね。
ストレートに書きますと、当時私はお金に対する意識が超絶低い状態でした。。。
新卒でコンサルに入ったのですが、社会人2年目位までは給与明細も口座残高もほぼ見ていませんでした( ゚Д゚) 社会人2年目の上海駐在後、帰国して家を契約するとき、年収記入欄にぱっと年収を書けませんでした(大丈夫かよ)
もちろん一定頂いていたからこそだとは思っています。が、それにしたってぼけーっとしていました。。
▼マンション前の猫に癒されました@上海
そんな感じだったので、お金のことはそこまで考えていませんでした。
上海で働くことを決めた時は、ぶっちゃけ「現地採用」と「駐在」の違いについての理解も怪しいもんだったくらいです( ゚Д゚)
行って直面した、お金の問題
しかし、行ってみて、お金って大事!!!と気付きました。また、人間、生活レベルを落とせない、ということも。笑
コンサルから「現地採用」で上海に行きましたので、給料は普通に下がりました。 それはもちろん知って入社してます。
とは言え、以下の感じで甘く考えてました。
- 私は「一旦やりたいことやってればよくて、最終的には生涯年収で考えればいいかなあ」タイプだし、
- 会社は「すぐ給料あげるよ!」って言ってくださってたし(←ここちゃんと詰めないのは甘いけどね)、
- 上海の生活費が高いのは知っていたけど、「まあ貯金もあるし、最初の方は多少は赤字でも良いかなあ」と思ってたし、
- 「その年齢(26歳)で現地採用にしてはもらってる」とエージェントさんは言っていたし(←だからと言って絶対額は変わらない…心の安定の足しレベル)、
要は大して何も考えませんでした。
▼映える火鍋@上海。熱するとくまさんが溶けます。。
でも、何しろ国を超えた引っ越し費用やもろもろの初期費用は結構かかり、貯金もどんどん減っていきました。「生活に困る」ということまではないにせよ、「一気に貯金の残高が減る」と現象は何だか辛くて、そうすると、何だか心が狭くなっていきました(´・ω・`)。
ちなみに上海の生活費は高いです。ちょっと良いレストランやバーに行けば、お値段日本以上です。日本クオリティの家の家賃は、東京の2倍位簡単にします。「駐在員」さんたちは、日本円換算で15万円以上とかの家に住んでます。
※もちろん安いものは日本より全然安いです、肉まん25円とか。
なんかどろどろした気持ちになる
今まで特にお金を気にしない生活をしていたことから、過去の自分、および周りの日本人駐在員となんとなく比較してしまいます。
※参考までに大手商社の「駐在員」だと、いろんな手当ついて20代で年収1,000万円とかになったりする
そうすると、他の「駐在員」に対して、なんでこんなにいい生活してんの?みたいな気持ちになりがちです。
いやそれは社会人2年目(前回駐在時)の自分にそっくりそのまま言いたいって感じなんですけど。。。
▼社会人二年目、上海オフィスでザリガニ食べる我。
特に私と同年代くらいの人は「研修で来てます!」「半年は語学学校に通ってます!」みたいな人も割といて、余計に微妙な気持ちになりました。内心「いいなーぬくぬくしてて」「ほぼ何にもしてないのにお金もらってて良い暮らしだなー><」みたいなことも思ってしまっていました。
ただ、その人個人がどうというわけではなく、会社のシステムでそうなっているということも同時にわかります。なのでいちいちそういうことを思ってしまう自分が悲しくなりました。。。
また世代を問わず、「駐在員」の中には、割と明確に「へ~頑張ってるんだねー!まあある程度働いてぬくぬくしてれば良いのに~」みたいなスタンスの方もおり、そういう方のことは本当に好きになれませんでした><
そういう人は上海に限らずどこにでもいると思いますし、どこで出会ったとしても私は好きではありませんが、当時はちょっとセンシティブだったので「は?何言ってるの?あなたは価値出してるの?」と、3割増し位でいちいち嫌な気持ちになっていました。
そういう人とはなるべく交流しないようにしましたが、どうしてもお金持ったり、駐在故現地での職位が上がったりすると偉そうになったりする人も多いと思いますし、上海の日本人コミュニティ狭めなので、そういう方に出会う確率が日本より出会う確率がちょっと高かった気がします!
とは言え、私がお会いした方々みなさんがそんな感じなわけではなく、志を持って働いていらっしゃる方々ともたくさん出会うことができました。語り合い時に語り合える同志の方々と沢山出会うことができたのは、とても幸運だったなと思います。
そうじゃなかったら孤独でだめになってたかも。。。皆さんありがとうございました(`・ω・´)!
▼何かと飲んでいた、仲良しの同年代の友達と!
とは言え根本にあったのは仕事の充実感の欠如っぽい
自分にとって、このような気持ちになることは予想外でしたし、これは「現地採用」という身分に紐づくものだったのかなと思っていました。
が、今振り返ってみると、自分にとって仕事があまり充実していなかったことが根底の原因だったようにも思います。
※現職と比較して、対照実験的にそう思っています。
当時の上海の会社にはとても良い経験をさせてもらったと思いますし、会社には感謝しているのですが、(良い悪いではなく)私には合わないと思うことも多く、ある程度やっている中で、なんだか違うなあという気持ちになっていました。
状況を自分で打破しよう(自分が良いと思える環境を作ろう)と試みもしたのですが、結果的に自分の力での打破は難しいように感じていました。
私は仕事に人生の重きをおいているタイプなので、自分のやっている仕事に納得・充実感や自信が持てない状態というのは辛かったです。
徐々にもやもやが解消された理由
そんな感じで、自分の状態にもやもやすることもあったのですが、だんだん改善していきました。きっかけは3つあります。
ひとつめは、コンサルの案件を個人でいくつか受けるようになったこと。
比較的効率よくお金が入るようになり、自分が持っているスキルは、思ったよりコスパ良くお金になるのだなと思いました。
会社に所属しなくても、こういうことを続けているだけでも(それを本当にやりたいかは別として)一旦は生きていけるなと思えたことで、生きていく自信がつき、気持ちも楽になりました。
ふたつめは、このブログを読んでいただく方が増え、色々お仕事がいただけるようになったこと。
2018年は「中国スゴイ」ブームが来ていたこともあり、ブログ経由や知人経由でお問合せをいただき、企業視察アテンド、執筆、講演等のお仕事をいただけるようになりました。
これは、お金をいただけたということももちろんありがたかったのですが、自分から積極的に情報収集・情報発信をすることによって、ゼロから「中国のITに詳しい人」という立場をある程度作れた、ということで自信になりました。
みっつめは、転職を決意したこと。心が軽くなりました。
自分で環境を変えるのは難しいと思ったこと、わくわくや成長がないところにいるのは停滞だと強く感じたことから、辞めて次にいこうと思いました。
一見ネガティブっぽいですが、充実していない状況をどう打破しようかと試行錯誤することを通して、自分にとって働く上で何が大事かが明確になりましたし、また自分の人生を主体的に生きる癖がうまくついたと感じます。主体的な決断を早くできるということは自己肯定感もアップします。
なので、そういう意味では良かったかなと思います。それもまた一興。
ちなみに、副業で収入をある程度得たので、このまま上海にぐだぐだいながら考えようとも少し思ったのですが、私自身、副業の仕事を続けることにあまりわくわくしませんでした。つまり、私の場合、しっかり打ち込めることがなかったら心が死ぬタイプだなと思い、全部やめて転職しようと思いました。
また来てからのタイムスパンとしては、中国に来てから5カ月目位で上記の状態となり、転職先を決めた上で7カ月目で帰国してます。決断は早く!行動も早く!笑
「せっかく上海に来たのだから…」という理由で長くいるのは時間がもったいないと思ったので、決断に迷いはありませんでした。
※ただ、最初は中国国内への転職を考えていました。ちょっと詳しい経緯はこちらで
帰る時は、やりたいこと全部やった!目的達成した!まじで上海来てよかった!となってました。しあわせ。
最後に:「現地採用」での中国就職を考えている方へ
ケースバイケースですが、私個人としては、基本的にはおすすめしません。
以下は、比較的一般的に起こりそうなことを箇条書きします。
- 給料が高くないので、金銭面では結構厳しいことが多い(上海や北京などは家賃も物価も高い&特に駐在員を経験していたりすると以前とのギャップに苦しむ)
- 家探しを始めとする生活に関する手続きを一から自分でしないといけないのは割と面倒(駐在と異なり基本的にサポートはない)
- 中国語を日常生活程度できないと、生活する上で結構大変(英語は基本通じない。上に同じく、駐在と異なり基本的にサポートはない)
- 知り合いがいない状態で飛び込むと、環境変化と相俟ってメンタル面で厳しくなりやすい(現地採用じゃなくても海外移住時よくある話ですが)
- 社内の「駐在員」日本人との待遇・身分格差がきついことがあるらしい(私は体験したことないけど、たまに聞くので・・!)
- 社内に限らず、「駐在員」の日本人と比較してしまうと相対的貧困を自覚し、悲しい気持ちになることも。結果としてメンタルに悪影響
- もろもろの結果として、付き合う人のレベルが下がりやすい環境になることも
が!!!人生一度や!!!行きたければ行くと良いと思います!
ただ、個人的には以下の2つはやったほうが良いかなと感じます。
①撤退ラインと期限を決めておくこと
「せっかく行ったのだから・・・」とサンクコストが気になるのが人間。でもぐだぐだ残るのは自分にとって良くないように思います。たぶん負け癖つきます。そんな自分に対する自己肯定感も下がる気もします。だめだと思ったら早目に損切りしましょ。ちなみに私は2年が期限でした。
②何が起こりそうか、どんなリスクがありそうか情報をとり仮説をたてておくこと(≒情報収集しましょう)
「とりあえず行く」だと、「こんなはずじゃなかった!」となり、思った以上にギャップに苦しむ場合もあるので、なるべく情報をとってある程度もろもろ予想してから言った方が、精神安定上も、実際動く上での効率上も良いな、と感じます。
ま、ただそれでも「行ってみないとわからない」ことは山ほどあります。加えてリスクをゼロと思えないと動けない方は、現状維持が良いと思います。
他責するのではなく、自分で決めて自分の人生を生きたいものですな!
長くなった!今日はそんな感じで!
おしまい!
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