「便利蜂」です。べんりばち。
2016年12月21日に北京で創業された会社で、2017年2月に北京で第一店舗目を開業した新興のコンビニです。
セブンイレブン出身の王紫さんという方がCEO。
北京に行った時に、街で割と良く見るなーと思って気になっておりました。
調べてみたところ、創業から1年半で北京200店舗以上を開店し、今は上海などにも進出。
2018年9月までで全国に300店舗以上を開業しており、そしてすべてが直営店だそうです。
現地メディアの記事では2018年中に700店舗まで届く予定とのこと。すごい勢いですね。
(参考までにセブンイレブンは14年間かけて北京で開業した店舗数は200店舗以下)
参考:罗森怒怼便利蜂抄袭 实则另有隐情?_个股资讯_市场_中金在线
※この記事の内容は執筆時点でのものです。移り変わりの激しい中国ですので、突然なくなったり場所や営業時間が変わったり、やっていることが変わったりしている可能性もあります。行かれる際は必ずご自身で存在と営業時間をお調べになってから行かれるようにしてください。
ちょっと便利なコンビニ・・?
中関村のスタートアップストリート「創業大街」の横にあるお店に入ってみました。
第一印象としては、きれい!おしゃれ!という感じでもない。
生鮮食品は結構在庫切れしているし・・・!
カフェコーナーもありまして、こちらはちょっとおしゃれな感じもあります。
便利蜂プライベートブランドのパンを発見。
そういえば、猩便利(ゴリラコンビニ)もプライベートブランドのパンを作っていました。(パンってやりやすいのかな?)
でました、ミニプログラム(小程序)。wechat内アプリのようなものです。
アプリをわざわざダウンロードする必要がないので便利。wechatからスキャンして、wechat内で立ち上げます。
会計の際は、セルフレジに行き、商品のバーコードをピッと読み込ませ→先ほどのミニプログラムのバーコード(下記左の画像)を読み込ませて、会計するという方法も可能ですし、
それか、ミニプログラムのスキャン機能を使い、商品下のバーコードを読み取り→そのまま手元でwechatpayで決済、という方法でも可能です。
こちらは手元で決済して持ち帰る形式なので、レジに並ぶ必要がありません。
ここまでの印象は、デジタルを取り入れているちょっと便利なコンビニ。
猩便利(ゴリラコンビニ)に似てるなーと最初は思ったのですが・・・!
もう少し調べてみると、思ったより色々やっているようでした。
かなり手広くやっているようです
ニュースや便利蜂のミニプログラム・アプリを見てみると・・・
彼らがやっていることとしては、
- 商品のデリバリ(外卖)
- オフィスに置く棚事業(オフィスグリコのようなもの)
- 有料会員特典でのシェアサイクル・割引・キャッシュバックなど
- グループバイ(集団で買うと安くなる)系のキャンペーン色々
- 「Bee Select」というコーヒーブランドの立ち上げ
・・・などなどと、ばらまきも含めお金使ってミーハーに色々頑張っている印象。
北京滞在中、いくつかのオフィスで見つけた、便利蜂の棚。オフィスグリコ的な感じですね。
しかし棚は色々な会社がやっております。。。競争に勝てるのでしょうか。
有料会員限定のシェア自転車は、1週間北京にいて2-3回くらいしか見かけなかった気がしますが、ユーザにとって便利なサービスになっているのでしょうか。
これは、友達にシェアすると0元で便利蜂の商品がもらえるよーというもの。
こちらはグループバイ。1本3.5元のコカ・コーラ、3人で買うと1本0.95元!などなど。
その他にも友達招待キャンペーンなど、色々とばらまいているようです。
加えてBee Selectというコーヒーショップの開業。手広いですね。
※便利蜂のお店でも飲めます
参考:便利蜂开了名为BeeSelect的咖啡馆,售卖咖啡和网红饮品-亿欧
かなり色々やっていますね・・。お金大丈夫かな。
どんな戦略でやろうとしているの?
短期間に多数の店舗の開業と、オフィス棚・シェア自転車・コーヒーなど様々な流行っているものを一度に実施していることから、利益度外視で一気にシェアをとりに来ているのだな、と思います。
これは中国あるあるですね。
※オフィス棚は2018年3月に一部縮小が報じられたそうですよ、早い・・・
現地メディアの記事によると、業界関係者いわく
「出店場所を見ていると、とにかく立地重視で出店店舗を選んでいるようだ。普通は数十~百平方メートルの物件に出店するが、便利蜂の場合は立地が良ければ三十~四百平方メートルの場所に出店している。家賃や店舗運営コストなどを考えると、利益が出ているわけがない」とのこと。
テンセントががっつり出資していることもあり(最近2億5600万ドルの出資を受けています)、余裕があるのかもしれません。
・・・と思ってたらすぐ倒産するのも中国あるあるなので、目が離せませんね。
コンビニらしくないコンビニ
「スタートダッシュで大量開業」「とにかく色々やっている」以外には、どのようなことろに特徴があるのでしょうか。
便利蜂が他社と異なる点としては、①配送システムを自社で運営する点と、②生鮮食品に注力している点だと、36krの記事では分析されております。
①配送システムの自社運営について
中国では、コンビニが商品配達を行うのは決して珍しいことではない。大手ではセブンイレブンやファミリーマートがすでに導入している。ただし、便利蜂のサービスが他社と異なるのは、美団(Meituan)や餓了麼(Ele.me)など既存の配送プラットフォームを利用せず、自社で配送体制を構築した点だ。また、最低購入金額は設けず、商品1点からの購入に対応する。配送手数料は4元(約65円)に設定した。店舗で扱っている商品は基本的に全て配達する
とのこと。
内製化することで、早く多くのデータをとって早くPDCAしたいのかなと思います。
お店もすべて直営とのことですが、これも、直営の方がデジタル化した業務の確立や、技術と業務のPDCAを早く実行しやすいからと現地メディアには分析されています。
便利蜂はかなり技術開発に力を入れていて、1,000人規模のテックチームをかかえているらしいですよ。
参考:便利店“华东局”:便利蜂大战日系_IT_财经_中金在线
▼最近上海でも見るようになってきました
②生鮮食品に注力することについて
さらに他社と差別化を図るために注力したのが生鮮食品だ。一般的に、コンビニの主力商品はお弁当だが、便利蜂は野菜、果物、肉、魚、卵まで多様な食品を扱う。品揃えの点からすれば、コンビニというよりもむしろ「次世代スーパー」と言われる生鮮ECに近い。
コンビニとしては独自の特色を打ち出した便利蜂だが、「盒馬鮮生(Hema Fresh)」や「毎日優鮮(Miss Fresh)」といった生鮮EC大手と比較すると、品目や在庫数で大幅に劣り、供給面が弱点である点は否めない。また、チルド配送は多大なコストがかかるうえ、相応の設備が求められる。自社でこれらをまかなうのは簡単にはいかないだろう。
これはどうなんでしょう・・・。
競合コンビニに逆張りしたいのかなというところと、それで利益を出す目算があるのでしょうか。
▼私が行ったお店では生鮮食品欠品気味だったような
上記記事で分析されている通り、生鮮だったら他のもっと良い店舗があるよね、というのは最もです。
が、日々のお弁当やおかし利用などから生活に入り込み、
→タッチポイントをオフィス棚や自転車、コーヒーなどでじわじわ増やし、マインドシェアを高めて
→「あ、生鮮食品もやってるんだ!割引もきくし一緒に買っちゃおう~」てな感じで生活にがっつり入り込もうという作戦かあ、という感じがします。
実際どこか一つの店からまとめて買った方が楽だったりしますもんね。
加えて、ばらまきによるクーポン等が豊富にありお得ともなれば、さらに購買行動が後押しされます。
様々な事業でユーザとの接点を増やし、便利蜂へのマインドシェアを高めて生活に必要なものを何でも買ってもらえる状態を一気に作っていこうというのが、今の彼らの目指すところなのかなと思いました。
なにはともあれ、ぱっと見あれこれやりすぎでは?という感じがして心配ではありますが、お金のことは計り知れないので、しばらくウォッチしていきたいと思います~。
今日はこんな感じで!
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