自分でもうすうす気づいていたのですが、中国にいるとお店の店員さんなどに対してやや押し強めになった気がします。
というか、強めになりました。
「言語が変わると性格変わる」的な話もありますが、言語問題だけではないはず。
日本と何がどう違うからこうなったんだっけ、ということを考えてみました。
日中の接客サービスの違い(イメージ)
まず、上海で暮らしてみて、接客サービスについて日中の違いはこんな感じだと捉えています。
(記載のレベル感ばらばらですが、イメージということで)
日本:
- 「顧客の潜在ニーズを先回りして汲み取りに行くこと」が「良いサービス」とされている。
- バイトでも一般社員と同等のサービス提供を求められがち。バイトもマニュアルを叩き込まれており、多少例外的な質問にも答えてくれる。
- 自分がわからなければ不確実なことは言わず、他の人に聞くなどの対応をしてくれ問題解決にコミットする。
- 融通はききにくい。
中国:
- 「顧客の顕在ニーズにだけ最速で応えること」が「良いサービス」とされている。
- わからないことがあれば、「わかりません」と言うか(日本よりは確率高い印象)、「たぶんこれで大丈夫です」のように確実でなくても自分の推測を教えてくれる→結果として間違っていることもある。
- 回答は早いが、こちらの問題解決にコミットするわけではない。
- 融通はききやすい。
もちろん、私が住んでいるのは大都市の上海なので、中国のほか地域などとはかなり差違があるんだろうなと思います。(日本のそれよりももっと差が大きいだろうと思います)
なので、あくまで私の印象ということでご承知おきください。
▼良いレストランやホテルだとサービスもさすが(ホテルでの奮発アフタヌーンティーの写真)
ちなみに「良いサービス」って何だろう?ということについては、以前ちょっと考えて書いたこともあるのでこちらもご参照まで。
takiyori-china.hatenadiary.com
で、私がどう変化したかという話なのですが、
▼自作のじぶん似顔絵。10秒でかけるぞ
【変化1】言わないと進まないので、はっきり言うように
先述の通り、こちらの要求をしっかり伝えないとモノが進まないことが多いです。
普通のレストランでは「程よいタイミングで」注文取りに来てくれるわけではないですし、箸とかメニューなど必要なものが出てこなかったりします。
ただ言えばやってくれます。
▼たまに行くチェーンの火鍋屋さん。この前全然ビール持ってきてくれず、厨房に自分でとりにいった
最初は「えーもっと気づいてよ!」と思っていたんですが、もはや慣れました。
あれもこれもやって当然だろうという期待は一切なし。
言わないとやってくれないけど、ちゃんと要求を伝えればやってくれるので、合理的だなーとも思います。
自己責任で必要なことをお願いすれば良いので、無駄もないですね。
逆に、日本だと「察して動いてくれ」という店員への期待値が高いので、ちょっとのことでいらっとしがちな気がしますね。。。
それから日本だと「先回りで伝えてくれる注意事項」が長いですよね。「ポイントカードは?」「キャンペーンうんぬんかんぬん」「段差に気を付けて」「~の場合は・・・ですのでご了承ください」等々。
また自分は中国語がうまいわけではなく、複雑な状況で言葉を尽くして説明できるわけではないので、
そこでばかにされて適当にされないように、本気であることが通じるように、結構強めに主張しようマインドが備わった感じがあります。たぶん。
【変化2】言うことが人によって違う場合があるので、納得できるまで確認するように
言うことが人によって違ったり、正しくなかったりもします。
あれーあの人はこっちのカウンターに行けって言ったのに、本当はこっちかい!みたいな。
例を挙げますと、
この前、日本から来たお客様を無人コンビニにご案内するため、無人コンビニの正しい営業時間を調べる必要があったので、お客様センターに電話をかけました。
▼ここです、無人コンビニ「简24」
(以下、たき→私、店→コンビニのお客様センターの人)
たき「もしもし、貴社のコンビニの●●店は土日もやっていますか?確かやってなかったと思うんですが・・・」
店「●●店ですか?土日もやってますよ」
たき「あれ、土日やってます?●●店ですよ。本当ですか?」
店「はい、やってますよ。」
たき「もう一回確認なんですけど、●●店も土日やってるんですね?」 ←しつこい
店「はいはい、やってますよ」
というわけで電話を切ったものの、不安すぎる。
今までそのコンビニの●●店は土日やっていたことがない。変更があったのか?
うーん・・・でも電話の人適当に答えている気がする。
というわけでしつこいながらも3分後に再度電話。
たき「すみません、たびたび申し訳ないんですけど、もう一回確認したいです。本当に●●店は土日もやっていますか?他の人に確認してもらえませんか?」
店「えーあーはいはい」
(同僚に「●●店って土日やってるよね?」と確認しているのが聞こえる)
店「あーごめんなさい、やっぱ土日はやってないみたいです。」
たき「わ、わかりました。そうですよね。ありがとうございます。」
似たようなことは他にもあり。
そんな中で暮らしていると、(もちろんモノによるけど)一回誰かに確認したから安心というわけではない、というマインドになります。
▼店舗が移転したり、営業時間がころころ変わる無人コンビニ「简24」。行ったら閉まってたことが4回もあるのでこちらも慎重になるのだ(閉まっていたので中を覗き込むの図)
【変化3】ミスを恐れず気楽にがんがん外国語話すようになった
これは「変化」と言うか「英語との比較」の方が厳密には正しそうですが・・・
英語を話すときと比較すると、中国語発話のハードルは低く、故にがんがん話すようになりました。(下手ですが)
▼大学の時の第二外国語(大して身についていない)→なんかもったいない気がして趣味でだらだら自主勉強→上海では中国語教室でぼちぼち勉強、の結果テキストは進んだ
なんとなく「英語はできるべきだ」「できて当然だ」的なマインドってありません・・・?
私はあります・・。以前は仕事で使っていたこともあり、「正しく話さねば」という意識も強いです。
でも中国語は「できたらすごい!」「わーい通じた!」みたいな感覚がありますし、間違ってもいいからがんがんしゃべったれ!と思えます。
そう思えるのは、私がラッキーなことに色々ちょうどいい感じの環境だったからだと思っています。
- 自分のしたいことを説明したり、サービスを受ける際に必要なやりとりレベルの中国語は元々ギリできたので、上海にきた時から日常生活ではそこまで困らなかった。(ごはんを食べる、モノを買う、家の場所を説明する等)
- 要は3-5歳児レベルくらいなので、伸びしろが大きい。使えば使うだけ向上していく感じがあって楽しいので、使うモチベーションが生まれやすい。
- かつ仕事でばりばり使っているわけではなかったので(多少使うが)、仕事上での深刻度も低い(前職はオフィス内英語だったから英語必須だったが、そういうこともない)。
- 英語は「世界共通言語」というビジネスでの常識/自分の認識があるが、中国語はそうではないので、受け手側と自分で自分への「話せて当然」的なプレッシャーが中国語と比較して少ない気がする。
- 英語と比較すると中国語の学習期間が短いので、一定できればいいんじゃないかと自分に甘えている。
なので、上海にいるときは、主張しなきゃいけない場面を中心に気楽にがんがんしゃべって、たくさん「はぁ?」って聞き返されていました(;^ω^)
たぶん英語だったらちょっとおじけづきそうですが、中国語だと気にしない!!!
ちなみに、タクシーの運転手さんが優しそうだったら、「これってなんていうの?」とか気楽に質問してました。リアル3歳児。
逆に仕事で中国語でのビジネス的なやりとりが必要になるなど、今後状況が変わったら一気に意識も変わると思っています。ひえ~
日本すごいけど、結局住めば都
こうやって書くと(主に変化1と2)、中国はサービスレベル低くてつらいのかしら、となりそうですが、慣れれば問題ありませんでした。
(少なくともちゃんと主張すれば大丈夫なので)
逆に言うと、スタッフ側からの過剰な干渉・気遣いはないので、そこの部分はノーストレスで良いです。
いわゆる「サービスレベルが高い」と言われているのは日本の方ですが、
- 支払い金額にかかわらず客側が一律ハイレベルなサービスを求めすぎだな、と思ったり
- クレームを恐れてちょっと過剰サービスだな
と、感じることもあります。
日本に一時帰国するたびに感じるんですが、店および店員さんのこちらへの気遣いがすごい、すごすぎるよ、日本。
▼カフェでの段差注意喚起ボード。いるかしら・・?丁寧すぎるぞ
【失敗談】そんな風に生きてたら誤ったごり押しでクレーマーに
そんな感じでマインドセットに変化があった上海生活なのですが、それ故の失敗みたいなのもあり・・・。涙
ひとつ失敗談を書こうと思います。
先日、IT系の展示会がありまして、その中で開催されているある講演に行こうと思いました。
申し込みをすると、QRコードがもらえます。QRコード社会なのでね。
あとは現地の入り口でスキャンするだけ。
▼一部モザイクかけてまーす
展示会というものには、何度か行っているので慣れてます。
入口でQRコードをぴぴっと。
しかしこの時はエラーが出ました。
係の人も、「これではだめです、あっちでやってください」とのこと。
あああっちね、と別のところでスキャン。
しかしまたエラー。
そこの人に聞くと、「私はわからないのであっちのカウンターで聞いてください」とのこと。
たらいまわし。。。
「あっちのカウンター」で聞いてみると、スタッフはうーんと困っている様子。
「このQRコードでは入れません。入館の手続きはしてますか?」とのこと。
いや、してるからQRコードあるわけだし、、、、
とだんだんいらいら。。。
それに講演会の時間も迫っているので、だんだん焦ってきました。
▼MWC(Mobile World Congress) Shanghaiという展示会に行きました
で、ここで、
「みんなそんなにわかってるわけではないし、正しいことを言ってくれてるとも限らない。ちゃんと主張してちゃんと解決してもらわねば!!!」
と思って俄然ごり押し主張モードに入ってしまったんですね。
「私が悪い」可能性は一ミリも考えず、
- スタッフが正しいとは限らない。
- ここじゃない、と言われても本当はここかもしれない。このQRコードはだめ、と言われても本当は良いかもしれない。
- 本気を見せてちゃんと主張して、話がわかる人を見つけてしかるべきところでスキャンしなきゃ。
・・・とうような気持ちになり、「なんでこれで入れないんですか?QRコード発行されてるんだし入れますよね?どこですか?」みたいな感じで各所で力強く要求をし続けてしまいました。。。
色々なところで質問と主張をし続け、色々な人を困らせた30分後(こちらもかなり疲弊)
同じ展示会を見に来ている友達にチャットで泣きついてわかったこと
友「たきさん、それ違うQRコード見せてる」
あ・・・
さすがはQRコードの国「中国」・・・
QRコード多すぎなんだあああ・・・
私が見せていたQRコードは、「展示会の中のある講演会に出席するための」QRコード
それとは別に「展示会自体に出席するためのQRコード」が必要とのこと
▼これが正しいQRコード。メールフォルダを探ったらあった。。。
QRコードの国でQRコードの海に溺れていました。。。。
私が悪いです・・・・
▼この国はそこかしこにQRコードがあるんだぜ
察してもらおう・やってもらおうと思わずに、必要なことは主張しようというマインドはまあ良いと思うんです。
でも、人の話をちゃんと聞かない、自分が正しいと思い込むというマインドになってしまうのは良くないな、と反省しました。汗
困らせたスタッフのみなさん大変申し訳ありません。。。
(たぶん中国語レベルの問題で、私が十分に説明を聞き取れてなかった&聞こうとしなかったのも原因です・・・)
中国に来てからの自分の変化を自覚した体験でした。汗
そして日本ではサービス認識の前提が違うので、もうちょっとおとなしい行動になります。なのでご安心ください(?)
今日はそんな感じです。汗
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