たきさんのちゃいなブログ

たきさんが、中国にいて感じたことや流行っているものなどを書いていくブログ。上海に住んでましたが、今は基本東京ときどき上海。

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2017年版!天猫(Tmall)の越境EC「天猫国際」のレポートを読んでみよう(前半編)

天猫(Tmall)が天猫の越境ECカテゴリである「天猫国際」の2017年レポートを出していましたので、読んでみたいと思います。

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2017天猫国际年度消费趋势报告 | CBNData

 

長いのでこの記事では前半のみ、後半は次の記事を読んでください!

 

 

そもそも天猫(Tmall)とは・・?

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天猫(Tmall)はもともとはCtoCのタオバオ淘宝網)の一部から独立したBtoCサイト。

日本でいう楽天市場のようなイメージです。

2017年の独身の日には、 セール開始からわずか3分で100億元、13時09分時点で2016年の1日の売上1,207億元を突破、丸1日で1,682億元という驚愕の売上を出しています。

 

2018年の1-3月のEC売上(BtoC)でも、シェア59.6%と圧倒的一位。

中国EC市場をトップで走る、業界を牽引する存在と言えます。

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易观:2018年第1季度中国网络零售B2C市场交易规模达9528.5亿元 春节活动应接不暇,线下比拼依然激烈

 

※ちなみに念のためですが、こちらは天猫の越境ECカテゴリである「天猫国際」のレポートです。ちなみにちなみに「天猫国際」は天猫の中にあります。別サイトというわけではありません。

 

* 

 

すごい余談なんですけど、天猫のキャラの猫、シンプルかわいい感じですよね

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で、普通にいいなって思ってたんですけど全身図を見てみるとちょっとアレだった。

↑この顔の出し方だともっと顔が長く続きそうじゃん?思ったより顔が短い・・。

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見た目を「T」にしたかったんですね。 (余談おわり)

 

* 

 

本題!読んでみました。

全71ページの長いレポートなので、結構かいつまんでおります。(それでも長いです)

私が興味深いと思うところのみ書いておりますので、正確な内容が気になる方は原版をご覧くださいませ!

 

そしてこの記事では前半のみ書きます!

 

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目次

PART1:越境EC市場の概観 
PART2:越境ECのトレンド ←ここまでこの記事で書いてます
PART3:越境ECのユーザ ←これ以降は次の記事で書いてます
PART4:総括と今後の展望

私の個人的な感想

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PART1:越境EC市場の概観
※スライド3-8

 

まずは交易額の推移。 

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越境EC市場の成長速度は以前よりも緩やかになってきたものの、依然として高い成長率を保っている状態。
2017年は33.9%増の4089.5億元。
2018年には5510.2億元(成長率25.0%)、2019年には6202.6億元(成長率21.4%)と予測されています。 

 

 

次に、ここでは越境ECの発展を四段階に分けて整理しています。f:id:takiyori:20180509221210j:plain

第1期の2010年以前はまだCtoCが中心でしたが、

第2期の2010-2014年は「垂直」越境ECと言われる、カテゴリを限定した越境ECプラットフォームが現れました。

 

 

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第3期の2014-2016年は、天猫国際や京東全球購などの越境ECの総合プラットフォームも出てきました。この時期にはBtoCもあればCtoCもあり、また垂直型もあれば総合型もあり、と多種多様になってきました。

第4期の2016年以降は、越境ECの総合プラットフォームが急速に発展した時期です。BtoCが中心となり越境EC市場の75%を占めるようになりました。

 

2016年からの発展については、「关于跨境电子商务零售进口税收政策的通知」という通知が政府から2016年に出たことと関係していると書かれています。
これは、ポジティブリスト」に記載されている品目については、関税率を0%、増値税、消費税をそれぞれ70%とする優遇措置(電商税)を設けるというものです。  

(逆にポジティブリストに載っていないものは保税区モデルでの輸入がNGとなりましたが)

参考:中国における越境ECの概要 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ

 

 

  続きまして、2017年10-12月の越境ECのシェア率ランキングです。

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第一位:天猫国際 27.6% 

第二位:考拉海购(コアラ) 20.5%

第三位:京東全球購 13.8% 

日本だとあまり知られていない気がしますが結構考拉海淘(コアラ)すごいです。

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上記は2017年「10-12月」のランキングですが、2017年を通してみると

第一位:考拉海购(コアラ) 25.9%

第二位:天猫国際 21.9%

第三位:京東全球購 13.83% 

参考:艾媒:网易考拉市场份额占比达25.8% 排第一 - 进口电商 - 亿邦动力网

2017年10-12月で見ると、11/11の天猫の大キャンペーンである双11(ダブルイレブン)が含まれるため、その分天猫が上に出るのはそりゃそう、という感じ。

 

考拉海购(コアラ)は、中国三大ポータルサイト網易(ネットイース)が運営している越境ECに特化したサイトです。

中国の友達に聞いたところ、「網易(ネットイース)が運営している」という時点で既に安心感らしいがあるのですが、

このECの大きな特徴は、自社で買い付けた海外商品を直販する方式形式を取ることで、「本物」を保証しているというところ。

偽物が多い中国ECにおいて、安心して本物を買うことができるため、信頼度が高く、ロイヤリティが高いユーザが多いことも特徴です。

ちなみに日本製品の買い付けのために三井物産とも提携しております。

 

 

 

PART2:越境ECのトレンド 

傾向①輸入品を購入するということは習慣化されてきた
※スライド10-17 

 
いきなりちょっとわかりにくいんですが、

一番上の青色っぽい線がリピーター、紫の線が初めて買った人、赤い線が2回目に買った人が、その時々の全体の購入者数に占める割合です。(絶対数ではないことに注意)

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大キャンペーンである11/11の双11や、6月の年中大促、12/12の双12で一気に新規顧客数が伸びたり、既存顧客が押し寄せたりしてるわけではないよねということ。

 

つまり、越境ECの商品は、「キャンペーンやってるから」というような理由がなくても買うようなものになった(特別なものではなくなった)、ということが言われているのだと思います。

※ただこれが最近の傾向かどうかは過去と比較しないとわからないですが

 

次に、「2017年に天猫国際で初めて買った人のうち、複数回買った人」のデータ。

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3回以上買ったことがある人が40%以上、5回以上買った人が20%弱で定着率が高い、とレポートに書いてありましたが、

これに関しては、あれ一回しか買わなかった人の割合は?という疑問が残ります。

 

  

ただ、データはともかく、中国のユーザに対して簡易にユーザ調査した感じだと、中国のユーザは天猫国際の商品への信頼感こそあれど、

越境ECだから一念発起して買うぞ!とかすごい特別だぞ!という感じではなく、選択肢の一つとして自然に存在している感じがしました

そういう意味で生活に定着していると言えるのかなと感じます。

 

 

また、天猫の中で検索すると、天猫国際(越境ECカテゴリ)のものもそうでないもの(国内ECのもの)も一緒に表示されますので、自然に越境ECの商品に触れられます

▼「アイライナー」で検索した場合。検索結果に天猫国際(越境EC)カテゴリのものが表示される。

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傾向②製品が豊富になり、より一層細かいユーザニーズを満たすことができている 
※スライド18-26 

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天猫国際(越境ECカテゴリ)において化粧品系(紫色)の占める割合が増えてきているというデータです。

食品系(赤色)とベビー・マタニティ用品(青色)は全体に占める割合は少しずつ減っているものの、3年続けてトップ3にはランクイン中。

越境ECにおいては、特に安心安全を重視するものや質の良さを求めるものが売れやすい、という感じですね。

 

上の青色記載の部分だけでは上記メッセージラインの根拠を示せていないのですが、この後原版では各カテゴリでどんな商品が売れているかの話が続きます。が、ちょっと細かいのでここではガッと割愛します(気になる方は原版へ)

 

 

傾向③高品質な商品へのニーズが、越境ECでの購入を後押ししている
※スライド27-32 

ここは上記メッセージラインとデータとの関係がちょっとわかりづらく・・・

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まず上の表ですが、カテゴリ内における平均購入単価を基準にユーザを、【高】・【中】・【低】に分けており、

【高】【中】を占める上位50%のユーザが売上の76%を作っているよね、と。

「50%のユーザで売上の76%」ということなので、売上の多くが上位の爆買いによって作られているわけではなく、割とみんな均等に買っているよね、という解釈になります。

 

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2015年から2017年の3年の間に、越境ECでの消費レベルが上がった人が3割くらいですよ、と。(グラフの赤色の部分)

【低】→【中】、【中】→【高】など消費レベルが上がった人の割合が赤く塗ってあります。

消費レベルが下がった人も25%弱おり(グラフの黒色部分)、現状維持の人も半数近くいるため(グラフの青色の部分)、まあそんなもんじゃない?という感想になってしまいます。

 

ただここからが(おそらく)天猫的ポイントで、消費者が買っているものが、以前は生活必需品でしたが、最近は生活を豊かにするためのものになってきましたよー、と言っています。

 

例えば、90年代生まれの一級二級都市(大都市)に住む女性の中で、越境ECでの消費レベルが【低】から【中】になった人のデータを見てみると・・

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猫の餌と空気浄化剤の購入増加率が高くなっています。ペットブームですからね。

 

 

同じく、90年代生まれの一級二級都市(大都市)に住む女性の中で、越境ECでの消費レベルが【低】から【高】になった人のデータを見てみると・・

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歯を白くする薬や掃除機/ロボット掃除機(ルンバ的な)部品、の購入増加率が高いです。

 

 

同じく、90年代生まれの一級二級都市(大都市)に住む女性の中で、越境ECでの消費レベルが【中】から【高】になった人のデータを見てみると・・

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ワイン・バラの油・ワイヤレス/ Bluetoothスピーカーの購入増加率が高いです。

 

ただ「90年代生まれの一級二級都市(大都市)に住む女性」という、割と限定されており、いい感じのデータを出すためのセグメントでレポートを書いているのは気になります。

 

あとはグラフに数字がない。お気づきかもしれませんがこのレポートちょいちょい数字がないです。。。

グラフの出し方的に相対的に数字が伸びてる気がするけど、2015年からの増加率が何パーセントかは不明なのです。

 

PART1での売上シェア報告部分でも、2017年度全体ではなく2017年Q4のみのデータを使って天猫国際がシェア1位となるように書いているところ然り、
いい感じのデータを見せようとしているということは念頭において見た方がいいですね。

 

 

傾向④インタラクティブなコンテンツは欠かすことができない
※スライド33-37 

 

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ここは、天猫(および淘宝)内コンテンツについて書かれているものです。

能動的に探して見つけるタイプ(搜索型)のコンテンツ・検索方式ではなく、

おすすめから買う(推荐导购型)というエリアがあったり、

ユーザ同士でやりとりする(互动导购型)エリアがあったり、

はたまた店舗側がユーザにアプローチできる(私域型)場所があったりと、

店舗が出品して終わり、ではなく色々な切り口で探せたり購買意欲を喚起する工夫がなされています。

 

例えば、おすすめから買う(推荐导购型)系だと、「有好货」というのがありまして

▼トップページのファーストビューにあります

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左が有好货トップページ、右が商品の紹介ページです。

ユーザ(KOL的な感じの)が記事を書いて商品をおすすめしています。

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 中国は企業の出す情報は信用できない、という傾向が日本より強いこともあるので、こういうコンテンツがあるのかなと思います。

 

ちなみに、ユーザ調査にてユーザに何かしらの商品を探してもらうと、ユーザはファーストビューの商品写真を見た後「商品詳細を見る前に」まず口コミを見ることがかなり多いです。そういうところからもその傾向を感じます。

(商品ページのUIも、商品詳細よりも口コミが上にでる形になっています)

  

あとは淘宝直播という、商品を勧めるライブ配信コンテンツがあったり

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 ユーザ同士でのやりとり系(互动导购型)だと、

商品詳細ページに「问大家」という、この商品に関する質問を書き込めるエリアがあります。(この商品専用のYahoo知恵袋みたいな感じ?)

▼これはある電動歯ブラシの「问大家」です、「歯の美白効果はありますか?」等の質問が書き込まれており、それ対していくつか回答がついています

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だいぶ長くなりました。

私の中国語理解力が低かったり、グラフ読み解き力が低くて間違っているところがあったらすみません!もしあればぜひ教えてください!

 

後半へ続く!